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「大事な人なんだ、俺らにとっちゃ親みたいなもんなんだ。おまえがここまで引っ張ってきてくれなきゃ…、」
「ちゃうねん」

山崎はゆっくりと身体を起こすと、謙遜するように苦笑いを浮かべ、頭を横に振った。

「あの人が僕を連れてきたんや」
「そうだったのか」
「連れ出してもろたんや。地獄からな」
「…地獄」
「あそこから抜け出してきたなんて…、正直言うてまだ信じられへんねや。いま大阪はこの世の地獄やで。家族もみな死んでもうた…、昨日あの人に会うてへんかったら、いずれ、」
「……」
「僕も…、」
「そうか…、」


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