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真正面の白い壁を見つめたままぽつりぽつりと語る山崎の横顔、その表情は伺い知れなかった。窓からの逆光のせいだけではないだろう。
暫時、場を支配した沈黙を押し退けるように、永川はまた口を開いて言った。

「よく来た、広島へ」

その言葉に山崎は一瞬、虚を突かれたような顔をしたが…、すぐに意図を理解した。
否、頭ではとうにわかっていたことだ。それが目の前の他人の口から発せられた一言によって、にわかに形を持ったにすぎない。
大阪には当分帰れない、これから、ここで生きていくのだ……、

「入るけー」

不意に響いた声と同時に、ガチャリと入口のドアが開いた。


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