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「やっぱりお師匠さんじゃ!お師匠さん、お師匠さんしっかり!!」
「お、おい、あかんて、こら、やめや!大怪我しとるんやからッ!!」
その揺すり方があまりにも乱暴で、かつ、次には頬でもひっぱたこうというのか、大きく右手を挙げたので、山崎は慌てて前田から梵を引き離した。
だが、ひどく興奮しているらしい梵は、その当然の制止を聞くどころか、噛みつかんばかりの勢いで山崎に詰め寄り、さらには襟首に掴みかかった!
「ちょ、おいこらッ、何すんねや」
「怪我って何じゃ、お前一体何しよったん!?」
「おい、やめろ英心、この人がお師匠さんをここまで連れてきてくれたんだ、わかるだろ!?」
「勝浩、離せよッ」
「いや離さない、いいか、落ち着け」
「ありえん、お師匠さんがこんな…、こんな怪我しよるなんて…」
「落ち着け、頼む英心、今は落ち着いてくれ!」
「こんな……、……、」
ようやく追いついた永川に後ろから取り押さえられ、大きく二つほど呼吸をして、ようやく、梵は冷静さを取り戻したらしかった。
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