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「しかし、このペースでは押されるのは時間の問題と思いますが」
「うん、だからこのままじゃダメだ。…けど仁志さんなら、きっと挑発に乗っちゃうな。とりあえず自分も技術で対抗しようとすんだろな」
「あの」
「ああ、悪い、なんでもない」

若い亀井が知る由もないが、仁志は数年前までここ文京軍に所属し、年齢は若干上ながら清水とは同期入隊で…、対照的な性格が妙にぴったりと合ったのか、とりわけ仲がよかった。
彼らは若いときからよく行動を共にし、議論し、共同作戦を任されたことも多く、また清水は、頭の回転が速いゆえに時に少し冷静さを欠く仁志の世話も随分焼いたものだった。
しかし、その仁志は近年になって新任してきた上官と折り合いが悪く、自分が前線で使われなくなると、実にあっさりと辞表を書いた。
その話が清水の耳に入ったときには、それらはすべて済んでしまっており、もうどうすることも、引き止めることもできなかった。
いや、仮に引きとめが間に合ったとしても、遅からず彼は出て行っただろう。十数年を共にした清水には、それくらいのことはたやすく想像できた。
ゆえに、何も意見せず、餞別を手渡し、ただ淡々と別れを告げた。…再会は誓わなかった、清水は文京軍に生涯を奉げると決めていた。

…それが、また今この時も、昨日のように思い出された。清水は今でも時々、彼がいたらどうするだろうか、と考える時がある。
清水も仁志に劣らず口数は多いので…、亀井に聞かすつもりはなくとも、つい、それを口に出してしまったのだ。


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