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「今は?多分…?」
「昔はやんちゃだったんですよ。昨日会ってきたんですか?何かされました?」
「ええと。髪を掴まれて引っ張られた、かな」
「ああ、良かったですね、そのくらいで済んで」

あれで良かったほうだというのなら、今も相当やんちゃなのではないかと森野は思ったが…、永川も東出もただ相槌をうつようにうなずいているので、森野はその空気に呑まれた。
実のところは、永川が張り倒してしまったから、マサユキは森野の滞在中はほとんど眠っていたのだ。あれで起きていたら一体何が起こったというのだろう。

「お寺さんもね、大変だよね」
「お節介が好きなんでしょ。ほっとけばいいよ」
「まあねえ」

前日、倉と話して、その大いなる志に森野は感銘を受けたばかりだったが、東出も貴哉もこの程度のことしか言わなかった。
森野は内心で少し落胆したが、地元の第三者としては確かに、こんなものかもしれない。

「じゃ帰ろうか、なんか食いにいこう」

雑談がひと段落したところで、永川は椅子から立ち上がり、玄関へ向かった。森野はあわてて呼び止める。

「おい、支払いがまだ」
「済んでる」
「幾らだったんだ」
「別に。俺が連れてきたんだから気にしなくていい」

永川はサラッとそう言ってのけた。二度言ってもおそらく永川は受け取らないだろう。森野はそのまま引き下がることにした。

「お前、モテるだろ…」
「出会いがないね、この仕事じゃ」


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