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その一瞬指差された先の玄関口は当然のように開け放たれていた。そして九死に一生、炎の中を走り抜けた彼らを…、
運の良かった生き残りたちが見咎めた。当然のことながら…、囚人はひとりもいない。みな、管理側の人間だ。

「こら、お前らどうやって出てきた」

この炎の中を今頃脱出してきたという、それだけでもう、能力者であることは一目瞭然だ。弁解の余地はない。銃口がいくつも向けられている。
帆足は死にそうに息を切らした大沼の背を踏み、頭を飛び越えて前へ躍り出て構え、自分たちを取り囲んだ十数人を牽制した。
普段なら、拳銃を構えている程度のことでは、帆足にとっては徒手を相手にするのと変わらないが…、まともに相手するには少々数が多い。
かつ、自身にはもう爆風を起こすだけの気が残っていないことを帆足は把握していた。つまり彼は瞬間的に、この場で大沼か自分が一発食らう前に全員を殺すのは不可能だという判断を下し…、背後の大沼に向かって、叫んだ。

「やれるかッ」
「うらあぁっ」

その声に突き動かされるようにして大沼はまた力を振り絞り、外門と守衛所を纏めて爆破した。大沼はまさに帆足の期待に満点で応えた、能力者たる帆足には、大沼があれだけの気を放出した後、まだ自分よりも圧倒的に多量の気を纏っているのが見えていたのだ。
このとき大沼の精神状態をそのまま反映して引き起こされたその爆発は、この場を突破するにはあきらかに余分の力が使われていた、
帆足はその強烈な爆風を利用して宙へと舞い飛んだが…、他の人間はどうなったかなど、探して確かめるまでもなかった。その場にあった形あるものはすべて微塵に吹き飛ばされた、その爆心近くで、人間だけが無事で原型を留めるはずがなかった。

やがて粉塵の中から姿を現した大沼の目の前へ舞い降りると、帆足はしゃがんでその顔を覗きこんだ。地面へ座り込み、立てた片膝に腕を乗せ、野獣のように肩で息をする姿が極限状態を物語る…、
さらには髪が少し焦げ、顔にも火傷を負って、ところどころ水ぶくれができている。おそらくは背中へ多めに気を回してくれたのだろう、と帆足は思った…、


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