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やがてたどり着いた先では、既に二名が警戒についていた。その二人ともを岸本はよく知っている。
一人は廣瀬純といって、自衛隊付属の大学校上がりだ。学生時代にはかなり優秀な成績を修め、なんでも主席で卒業したらしいが…、それを鼻にかけるようなこともなく、きわめて実直な性格をしている。
そしてもう一人は木村昇吾、訳あって彼は、岸本とは特に親交が深い。

「お、もう交代か」

岸本が姿を現したのを見ると、二人のうち、廣瀬が腰を上げた。この見張りは実のところ、肉体労働に対する休憩の意味も兼ねている。一人あたりの担当は原則的に1時間だ。
この場所には常に二人が配置されているので、30分ごとに一人ずつ人間が入れ替わることになる。

「じゃあ、後よろしく」
「はい」

手にしていた双眼鏡を手渡すと、廣瀬は強面に似合わない軽快な足取りで坂を下りていった。

「昇吾さん、お疲れ様す」

声をかけて、岸本は木村の横へ腰を下ろした。

「お疲れ。次の順番お前だったのか、奇遇だったな」
「そうすね、…何か変わったことって、ありました?」
「いや、ないよ。あったら今頃、」

木村は笑った。その意味を岸本もすぐに理解した。

「ああ、そうすよね」


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