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――丁度そのころ、西基地では。

「いやあー、案外普通の人だったねー」
「そうッスね」

死神とも称される西基地総司令・岩瀬仁紀少将と、その副官たる川上憲伸中佐の二人が、先刻尋ねてきた男を評していた。

「憲ちゃんが『般若』なんていうから、一体どんなのが来るのかと思って身構えちゃったけど」
「だって、実際そういう噂なんスよ」
「別に普通に礼儀正しいし、言ってることもまともだし。なんで般若って言われてるのかな」
「まあ、わからないスけど、自分が思うに、恐らく…」

そこまで言って、川上は一旦言葉を切る。しかし岩瀬が目線で先を促すと、渋るように、こう続けた。

「顔…、じゃないッスかね」

それを聞いた岩瀬は突然パッと笑顔になり、ポンとひとつ手を叩いた。

「あ、やっぱりそう思う?」
「思うッス」


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