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そうして考え事をしているうち、気づくと森野は玄関へ出ていた。そこにはすでに永川の姿はない。

「おい!まさか置いていく気じゃないだろうな」

我に返った森野はたまらず大声を出した。すると玄関の外、「走れヨシヒコ号」に跨った永川が脇からヒョイと顔を出す。

「さっきここへ来るまでの道スジに俺の気でマークをつけておいたから、それを嗅ぎわけて帰ってこい」
「そんな無茶な」
「訓練だ訓練。休んでる暇はないぞ」

遅れて倉が見送りに現れ、蛍光灯のスイッチを入れた。後ろについてきたマサユキは、その光の届かないところから玄関先の様子を見ている。

「気を嗅ぎわけるって…、どうやるんだ」
「例えばそこの玄関の、敷居のとこな」
「…ここか」
「しゃがんでみろ」


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