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畳にあぐらをかいた森野の頭にマサユキの手がのびる。その不穏な気配と、蛍光灯の光をさえぎる影が視界に入る…、

「…行った!通った!!!」

頭髪をマサユキに掴まれた、まさにその直前の瞬間、森野は間一髪で課題をクリアした。視覚触覚からくるイメージに随分助けられたとはいえ、あるいは危機感が集中力を高めたのかもしれない。

「お、できたか。どうだ感触は」
「おう、わかるぞ、今までよりもっと流れが強くなっているのが、」

まるで見えていないかのように、永川はマサユキに構わず森野に話しかけた。森野も森野で先刻懲りているから、マサユキのやることにはいちいち反応しないよう努めている、たとえ髪を掴まれようとも。
しかし本人にしてみれば、それが気に入らないのだろう。マサユキは無言のまま、力任せに森野の髪を引っ張った。

「わかる、…ててっ、いてててててて!」
「こらマサユキ!離しなさい!」

倉がすっ飛んできて、マサユキを背後から抱えるようにして手首を掴む。マサユキは先にも話題になったように極端な痩身で筋力もないから、そうされてしまうと最早抵抗する術はない。

「…痛い。離せよ。何だよこいつ?」
「勝浩の友達だよ、いつも言ってるだろう、お客さんにイタズラしちゃだめだって!」
「……」


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