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マサユキは倉に抱えられたまま、口を尖らせて、森野の顔を睨むようにジッと見た。マサユキに読心の力があることを既に聞かされている森野はこれに大変居心地の悪い気分を味わったが…、
しかしマサユキは森野に何か一言告げることもなく、プイ、とそっぽを向いた。
いや、正確には森野から顔をそむけたのではなかった。彼のちょうど背後に座っていた永川に視線を向けたのだ。
それに対し永川は何か言いたげな顔をしたが、すぐに顔をそらすと、フンと鼻を鳴らして机へヒジをついた。構わずマサユキはその横顔を見つめる。
そして、やがて口を開いて言うには。

「お前らほんとにトモダチなのか?」

この発言に一番肝を冷やしたのは倉だった。実際のところ森野と永川がどういう関係でどれだけ仲が良いのか、倉は知る由もないことだが…、
その言葉が的を射ているかどうかに関わらず、例えば自分の子供が人に向かってこんな発言をしたら、慌てない親はないだろう。
一方、言われた森野はと言えば、マサユキのその観察眼に、ただただ驚くばかりだった。永川とは親しげに口をきいているし、友人と言われればそれで特に不自然に見えるところもないだろうに、
しかしその実、まだ出会って丸一日しか経たないのだから、友人でないと言っても間違いではない。よくそんな細かいところを見抜けるものだ、と。
そして永川はと言えば…、また不機嫌そうな顔をしてマサユキを見上げるように睨み、それから溜息をついて、面倒そうに口を開いた。

「違ったら何か文句あるのか」

その表情とトゲのある言い草に対し、マサユキはニタニタと気持ちの悪い笑みを浮かべて答える。

「ねぇーよ」
「だったら黙ってりゃいいんだろがよ。そうすりゃ大概痛い目見なくて済むんだよ」
「うっせバカ。うぜえ。帰れ」


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