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「それなら、あなたもきっとお手に取れば、私たちと同じくらいには力を感じ取れることでしょう。
その品々の中で、一番強い力を持っていたのが錫杖でして、おそらく、先程の絵に描かれていたものと同一と思いますが…、それは英心が持ち出してしまったので、今ここにはありません。
以前はいくつかの品があの絵の部屋へ安置してあって、どなたでも御覧いただけるようになっていたのですが、それが仇になりましてね。以来、土蔵へ保管するようになりました」
「強い力というのは、どのような」
「ですから、私にはわかりませんよ。お話したとおりです」
「ああ…、そうでした、失敬」
「いえ、まあ、わざわざ持って行ったということは、英心には、あるいはわかっていたのかもしれませんがね…、
とにかく、そういったものが土蔵にしまってあるので。勝浩はそのうちのいずれかを使いたいのではないかと思います」
「なるほど」
「…惜しいが、ハズレだな」
倉がひとしきり語り終え、森野が相槌を打ったところで…、背後から突然、声がした。
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