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「طنةباؤياتمع、ةژعربقطانونك?(そんな事言ってないで、森野さんもやればできるんじゃないの?)
背中ごしにドアラが応える。
「اتمع、وظغ٥فيچー…(いやいや、俺にはとても無理だわー…)」
「هذلا٢قغعربىلا、ظفهجش?(でももし軍隊クビになっちゃったらさ、奥さん出てっちゃうかもよ?)
هولمعرءقكجدِـيونهيهيー(そしたら何でも自分でやらなくちゃー)」
「こ、こら、お前、そんな事言うなよ!」
焦って森野は日本語を口走ったが、ドアラはその表情から森野の言っていることを読み取ったらしく、歯を見せて意地悪く笑った。
「ظإلموماضفيیاستعنأإلمع(やっだあ、本気にしちゃってんの)」
「مئکصيظغعرب、ءئون…(勘弁してくれよほんとに、ヘコむから…)」
死をも覚悟することで道は拓ける、俺だって、三歩歩けば忘れるだの、副官のおかげで隊が成り立ってるだの、顔がドアラ似だの何だのとバカにされるばかりじゃない、
ここでやってやらなければ、一生、いてもいなくてもいい、強いて言えば笑いが取れるだけの存在で終わってしまう…、
その結果が受け入れられず、軍を追われるのならそれは仕方がない、と心に決めてはいるが、帰る場所まで失うのでは洒落にならない。
「そうか…、その可能性もあるのか…、いや、うちの嫁さんに限ってそんなことは。あーでも、」
ドアラの背中をこする手が止まる。
「やっぱ、無茶だったか…?」
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