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「この昨今の戦況下、大尉もお疲れのことと思います。その中でここまでわざわざいらしたのは、何かお話があるからでしょう。
 ゲーム、特にカードゲームや麻雀の類はその人間の本質が出ますから、大尉はおそらくこのトランプを通して、我々がその話をするに足るかどうかを測っていらっしゃるのでしょうが…、
 森野隊長がお戻りになるまでの間とはいえ、我々は今日からあなたの部下です。回りくどいことをなさらず、ここはひとつ我々を信じて、率直にお話し願えませんか」

強い語調で繰り出された上田の言葉に圧倒され、荒木は口を開けたまま2、3度まばたきをした。
いや、そんな深い意図は全然なくて、ただ事の成り行きというか…、しかしさすがにこの副官がいれば、森野が隊長でも充分に部隊は機能するだろう、
なんて羨ましいことだ、…いや今はそんなことは良くて、お話し願えませんかって言ったよね、言ったよねこの人、これチャンスだよね!?

「さ、察しがいいな。さすがは森野の右腕と言われる、う、上田曹長だ。たっ試すようなことをして申し訳なかった。
 用件から言うと…、森野について聞きたいんだ」
「森野隊長について…ですか?」

我ながらうまくごまかせていないと荒木は思ったが、それを気に留める様子もなく、新井が怪訝な顔をして聞き返した。


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