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「誤解して欲しくない、っていうのは甘えなのかもしれないけど…、たとえ気持ちがどうだろうと、殺すことには変わりないんだぜ」
永川の言っていることは、山崎にも理解できる。いくら気持ちがあったところで、やっていることは相手にとっては最悪なのだ。
それなら、半端に罪悪感を持つことのほうが、相手にとっては失礼になる。
そう言われれば、山崎も確かにそうだと思える、しかしいきなり割り切って考えることは、やはり難しい。
「せやけど…、」
「ね、やまちゃん。俺ら人間だよ。…だから、それでいいんじゃないのかな、いや、それしかできないんじゃないのかなと俺は思うよ」
理由はどうあれ、人里にスラィリーが出た。それに際して、必殺の秘術を心得たハンターである永川にできることといったら、これくらいしかない。
その役割に忠実になり、機械的に、生きているものを殺す。
死骸に特別な思いを抱かないのは、ハンターとしての感性が鈍るから、そんなところだろうか…?
「…せやな…」
誰も知る由もないが、永川とて、長く考えた末に到達した結論なのかもしれない。
完全に納得はできない、が、言っていることは理解した。そんな少し複雑な気持ちで、山崎は少しうつむいたまま、うなずいた。
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