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それにしても…、改めて見れば、その大きさに加え無残に傷つけられた凄惨な死骸の存在感は圧倒的で…、
これがもし人間の死体だったら、きっと直視に耐えないだろうと思わせるに充分な状態であるにも関わらず、山崎は目を離すことができなかった。
さっきまで生きて走り回っていたものが、今は死骸となって目の前にただ横たわっている。それがどこか現実的でなく、勿論頭ではわかっているが、感覚的に理解しがたい。
矛盾した表現になるが、殺したことは理解しても、死んだなんて信じられない、とでも言えばいいのだろうか。
初めて関わったハントで強敵を倒して感慨深い、死闘が終わって名残惜しい、そんな気持ちも勿論あるだろう。だが、それだけではない、この奇妙な気持ちが胸の内を支配して、どうにもこうにも、居心地が悪い。
動いていたものが動かなくなってしまった、そのことに自分が関わった。猟なのだから当り前だ、しかしその当り前のことが妙に引っかかる。
永川はこんな気分になることはないのだろうか、恐らくないのだろう、仕事のたびにいちいちこんなことでは身がもつまい。
しかし、過去にも一度もないのだろうか。始めは誰でも抵抗、のようなものを感じるものなのか、それとも自分の心が弱いのだろうか…、
そういえば、つい先刻、下腹部から青い毛皮を濡らしてだらだらと流されていた血は、
あの血は、
…もう、止まってしまっただろうか?


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