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「いや、強行しよう」
しばらく思案したのち永川の出した結論は、その定石を大きく外していた。
「そりゃまた、なんで」
「想像してみな、自分とこの庭にスラィリーが居座ってるんだぜ。さっさと始末してやんなきゃ。かわいそうだろ」
「しかし…、」
「考えはある」
永川は静かに、しかしはっきりとそう言い切った。それを聞いて山崎は、なんとも言えない頼もしいような気持ちになった…、いつも細かいことグチャグチャ言うてばっかで、苦労性のネガ野郎やとおもーとったのに。なんや。ナー、カッコええやん…、
「それに、有能な助手もいるしな」
そう言って永川はニヤリと笑い、山崎の背中をばん、と叩いた。
「え?」
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