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「スラィリーハンターかて、似たよーなもんやないの?」
「まあ、普通はそうだけどさ。俺はほら」
「そっか。ナーがやれば間違いないんやもんね。ふつーのハンターさんたちとはスタートラインが違うわけやし。セコイなあ」
山崎は大仰に溜息をついて見せた。通常はスラィリーハントと言ったら命懸けの一攫千金、時に男の浪漫ですらあったりするが、
この男の場合はさほどリスクがないからやっているだけのことで、そう考えれば別に恰好よくもなんともない。
「セコイ言うなよ。多少は危険もあるよ、世の中絶対ってことないし。それに、スラィリーにだけは負けませんなんてさ、
 それこそ普通に会社勤めしてたら何の役にも立たないことのために、遊びたい盛りも青春も丸ごと棒に振ったんだぞ、俺は。
 これでスラィリーハントが商売にならない世の中だったらどうすんだよ。面接行って特技は?って聞かれて必殺スラィリーですとか言うのかよ。
 それが当社にどんな利益をもたらしますかってんだよ。それしかできないんだから、それで生計立てたっていいだろ」
大体このスネかじりが、どの口で人の商売をセコイなんて…、という言葉が続いて喉まで出掛かったが、
永川はすんでのところでそれを飲み込み、不満の表情をうかべるにとどめた。
「まーまそんなカリカリせんかっても。そのかわりったら何やけど、今じゃ稼ぎほーだいやろ。その気になれば、今からなんでもできるやん?」
そんな永川の気を知ってか知らずか、山崎は屈託のない笑顔でそう言った。永川はすぐに答えず、おもむろに、空に浮かんだ雲をしばらく見つめる。
「…まあ、大概できるだろうけどさ、別にやりたいことなんて…、思いつかないよ。
 それに、金たまってスラィリーハントから足洗ったところで、英心が考え直して山降りてきてくれたりとか、そういうことがないと、
 どのみち俺はここを離れられんわけだし」
「ああそーね、ナーはスペアやもんね」
「やな言い方するね。その通りだけどね」


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