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果たして、森野の一撃は山崎の腹を捉えなかった…、山崎は圧倒的に不利な形勢から跳んだにもかかわらず森野の頭上を宙返りで飛び越え、
手をついて着地すると同時に森野の背後へ低くしゃがみ、さらに足元を払おうと回し蹴りを仕掛ける。それを森野は咄嗟に上体をひねりながら退いてかわす。
そして立ち上がった山崎の黒い袴の左足は膝から下が縦に幾筋も裂け…、千切れた布地がひらひらと、遅れて地面へ落ちてきた。

「ちょっとお師匠さん!!聞いてまへんで!こんなんドテッ腹に食ったら、怪我で済みまへんやろ!!!」
再び間合いを計りながら、山崎が前田に抗議する。
「ガードは教えたはずじゃぞ。いつも得意なやり方ばかりで、跳んだりハネたりしてかわしよるから、忘れとったじゃろ。気ぃつけえ」
涼しい顔をして前田はそう答えた。
そして当の森野は…、
自分が今、一体何をしたのか理解できないでいた。布団たたきを掴んでいる右の拳、そして腕が痺れるように熱い。
「お師匠様…、今のは、自分は……、」
「勝負の最中じゃ、よそ見するでないわ、集中せえ。こうしとる間にも時間は経っとるぞ。おい、残りは」
「…5分です」
前田は森野の質問も平等に取り合わない。そして残り時間は、あと半分。


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