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「ほっ、報告!新井良太伍長、入ります!!」
「ど、どうだった」
井端が声の主に対して新聞ごしに入室を許可するよりも早く、荒木が振り返って先を促した。
「だ…、だめです、それに、机の脇に積んであった古新聞の山の中から、こんな書き置きが…、」
「おお、よく見つけた、見せてくれ」
司令室の中へドタバタと転がり込むように走ってきた新井の手から奪うようにして紙を受け取ると、荒木はそれを井端に向かって音読した。

『旅に出ます。探さないで下さい。厳罰は覚悟の所存です。
 1週間経っても消息がない場合は、死んだと思っていただいて結構です。
 森野将彦
 
 追伸 良太へ、お前のことは上田曹長によろしく頼んであるから、なにかあったら頼りなさい』

その内容は井端のすでに知るところと大差なかった。よって内容を聞き流しながら、書置きの裏面に印刷された生鮮食品特売の情報をいくつか見るともなしに見つめたのち、井端は額に手をあて、つぶやいた。
「あの、馬鹿め…!!」


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