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「なるほどな、竹槍で戦闘機か、ハハハハハハ」
がっくりと肩を落とす永川の横で前田が大声をあげて笑う。
「そいつは確かに浩司には聞かれとぉないのぉ、それはようわかるわ、んな話なんぞ聞かせたりしたら、ナーの300倍の勢いで食いつくに決まっとるけ、 いやあしかし、ナーもまだまだじゃの、竹槍で戦闘機、ハハハ、竹槍て…」
前田がそう言いながら未だ笑いを引きずっていると、突然、廊下から声がした。
「お師匠さん、僕の話しとります?竹槍で戦闘機て、何ですか?」
言うが早いか、許しもなしに襖を開け、山崎が姿を現した。どうもやはりこの男、タイミングを逃さず現れる…、しかしそこまで聞かれているのでは仕方がない。下手に隠そうとすれば余計な追求にあうだけだ。
横から永川の視線を感じつつ、前田は仕方なく、経緯を差障りない程度に説明した。
「いや、ナーが他所で聞いてきたんよ、まあ、気の力を鍛えれば竹槍で戦闘機を落とせるか、ちゅう話なんじゃがの」
それを聞いた山崎は怪訝そうな顔をしながら永川のほうを向き、こう言った…、
「何言うとるの。いくら気の力やて言うても、できんことあるやろ。人類の歴史も始まって随分なるけど、気合で月ロケット飛ばした奴とか、おらんで」
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