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「スラィリーハンターと呼ばれるもんにはの、本来2つの力が必要なんじゃ。ひとつは体力。もうひとつが気力。
 気力ちゅうのは根性とかそういう意味じゃのうて、人間誰でも持っとる気の流れちゅうか、なんて言うたらええんかの」
「誰でも、ですか?」
「そう、誰でも。お前さんも持っとる。流れの速さ強さは個人差あるが、誰でも持っとることは持っとるんよ。それを訓練してある程度操れるようになると、いろいろ常人にはできんことができると、そういうわけじゃ。
 お前さんドアラマスターなんじゃろ、意識はしとらんかもしらんが、マスコットマスターも多かれ少なかれ気の力を使うとるんよ、
 たとえ言葉が通じんでも不思議と意志の疎通ができるんは、マスコットとの間に気の流れができとるせいじゃけ。
 お前さんは見たとこ、相当な使い手じゃの」
森野が驚いた顔でうなずくと同時に、永川も思わずへぇと声を出す。
「ワシがここで何しよるか言うと、それを武術に活かすことを教えとる。広島は古来からこのテのことが盛んでの。ワシも若いころ、やっぱり師匠に習うた。
 師匠は山本ピーコ言うて、若いころは広島にその人ありと言われた名うてのスラィリーハンターじゃった、もっともワシが習うた頃には、すでにご隠居じゃったがの。思えばあのお人は…、」
「お師匠さん、思い出はいいですから、先の話を」
「うん、そんでの、なんで武術の師匠がスラィリーハンターなんか、ちゅう話じゃが、これは簡単なことでの、
 昔はそんくらいの事ができんかったら、スラィリーを仕留めるなんて事は到底無理じゃったんよ。
 スラィリーの毛皮は厚いけぇ、ただの刃物じゃ傷つけることもできん。銃ならちょいとは違ってくるが、
 鹿撃ちの猟銃程度ならやっぱり至近距離でブッ放さんといけんし、そんな事しよったら、その前にピロられる。
 おまけにヤツら馬鹿力で知恵もあるけ、金網やら罠を仕掛けても、どうもならん」
「しかし実際は、もっといい銃が出回って…、」


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