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歯に衣着せることのできない山崎の立ち去った直後、永川は森野の横顔を、気づかれぬように横目で見た…、しかしその表情はさほど怒っているようには見えず、ひとまず、胸をなでおろした。
しかし怒ってこそいなかったものの、森野は内心で消沈していた…、
名古屋では、ドアラマスターといえば人々から一目置かれる存在であり、子供たちにとっては憧れの的だ。それがここでは、あろうことかドアラのおまけのような扱い。
それに加え、この道場があまりに森野の頭の中に思い描いていた理想と違いすぎるのもいけなかった。
なにしろ長年の夢であり、さらに神社を改装した荘厳な雰囲気から否が応にも期待が高まってしまっていたために、普通ならば驚くほどのことでもない、
たとえば玄関のインターホンや関西弁の男にもいちいち余計に幻滅してしまっただけのことに違いない、ただそれだけのことだ、そもそも期待が過剰だったのだ…、
森野は脳内で自分にそう言い聞かせながら、しかしなおも、口から漏れ出る溜息をとどめることができなかった。
「…ま、上がってよ、上がっていいみたいだから」
その様子を見ていた永川はひきつった愛想笑いをうかべながら、玄関の中へと森野を促した。


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