017

その半ば曲芸のような業を目前で見せ付けられ、森野はにわかに愕然とした。
愕然とするあまり、この一晩の間に永川が随分乗り気になっていることにすら、すぐには気づかなかったくらいだ。
達人の域のハンターは銃よりも弓矢や槍を好むらしい、というのは、スラィリーハントに関する文献を少し漁れば容易に見つけることのできる記述である。
しかしそれがなぜなのか、合理的に森野を納得させるだけの理由は、いずれの文献にも書いていなかった…、
いや、すべて判を押したように書かれていた、『それらが銃器よりも威力で勝る』という至極単純な理由が、そのときの森野の頭では到底理解し得なかったのだ。
だが、永川の放った一本の矢が生きた木の枝を吹っ飛ばす、その現場を目撃した今ならば、文献の言葉は実になんの捻りもなく、
ただ正直に事実を記載しただけの表現であることを理解できる…、いや、もう少し森野の心情に忠実になるなら、
認めざるを得ないと表現するのが正しかろう。
一体なんだこの男…、人間離れしている! これならたとえ名古屋でも十二分に前線の防衛が務まるだろう、
これだけの力があってもなお、一人では、スラィリーマスターには到底対抗すべくもないというのか…!?


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