004

永川は人のよさそうな顔を少し曇らせて、そう告げた。永川の言うとおり、その理由は森野にはわかる。
名古屋にもドアラハントという文化があり、事情は似ているからだ――、ただし、リスクも、リターンも、スラィリーのそれには遠く及ばない。
まともに戦えばドアラとスラィリーのどちらが強いのか、試した者がいないからそれはわからないが、
凶暴さだけで論じれば、スラィリーは各地のマスコットモンスターたちの中で群を抜いている。
しかし…、名古屋からようやくここまで来たのだ。すんなり引き下がるわけにはいかない。
「わかっている。その上で、頼んでいるんだ。猟には慣れているし、こいつもいる。足手まといにはならない。どうか」
…その言葉には実に熱がこもっている。永川は黙したまま、あごひげを撫でつつ思案した…、
そもそも、ドアラマスターの能力をもってすれば、他人と組まなくても、スラィリー狩りを通常よりも安全に行うことは可能なはずだ。
ドアラは戦闘意欲にはやや欠けるが、同じマスコットモンスターであるためスラィリーにピロられても影響を受けないし、
信頼したマスターに対してはおどろくほど忠実なので、マスターの身の安全はかなり保障されているといえる。
そのうえ本人が猟に慣れているのなら、自分の助力など必要ないはず………、とすれば……。
「…なにか、事情が」
「聞いてくれるのか」
「……聞けば引き受けるとは約束できないが…」
「わかっている。当然のことだ。聞いてもらえるだけ、ありがたい」
「…狭いとこだが、入ってくれ。見てのとおり、こんな場所だから…、長時間の立ち話は危険だ」
「感謝する」


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