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――話を立ち聞きしてしまってから一昼夜、山崎も山崎なりに考えた。もしも頼まれたなら、永川に助力すべきなのか。
永川とは、考え方の違いはあれど…、今もそれなりに親しい間柄だ。会えば嬉しく、語れば楽しい。
だがそれは、久しく顔を見ていない梵とて同じはずだ。少なくとも山崎はそう信じている。

その梵をついに討つと永川が言い出したことに、はじめ山崎は驚きはしたが…、しかし、それは決して青天の霹靂という訳ではなかった。なぜなら、永川は以前から、梵が既にまともな意思の疎通ができる相手とは考えていないというようなことを、時折口にしているのを見聞きしているからだ。
永川がそのあたりに言及するのは大概、スラィリーハンター協会の人間として意見を求められた時であるから、それがすなわち彼の真意であるかどうかはわからない。だが、そこがひとつの落とし所であろうことは山崎にもわかる。
かつての友である梵英心と、梵倉寺の者に課せられた害獣駆除の責務までも時折妨害してくるスラィリーマスター、その両面性を理解しようとするのなら…、心の奥底にある願望がどうあれ、そう割り切っていくしかない。奴は変わってしまったのだと。


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