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「…まさか、今朝のことで帆者に何か言われたあるか?」
「いえっ、そんなことは、決してそんなことはありません。むしろ、逆です」
「ふうん?」
「そこらで言われてるような人には見えなかったんです。だから」
「なるほどね」
許は一人で合点してうなずいた。その続きを早く喋れと岸は思ったが、それは勿論口に出さなかった。許は比較的フレンドリーな男だが、幹部の序列の中で随分と上だという点では帆足と何ら変わらないのだ。
「そね、それは前からそうとも言えるし、そうでないとこもあるね」
「…具体的には」
「乱暴なのは昔からよ。怒鳴る前に手出るよ。あれ多分元々あーゆ性格ね、一生治らないあるね。でもトシとってだいぶマシになった思うよ。昔は部下も仲間もよく殴ってたね。あと総帥もね」
許は懐かしそうに言ったが、総帥を殴っていることに関しては別に今も変わらない。
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