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「すんませんっ、佐伯石井仁志、入室します」
「ああ、急に呼びつけてすまない。適当に座りなさい」
会議室のドアをガタンと開けると同時に、先頭で入った佐伯が全員分をまとめて名乗った。
村田に急かされ、全員息を切らしていたが…、それに構う様子もなく、大矢長官は彼らに着席を促す。
会議室は座席は決まっていないようなので、4人はそれぞれ空席に座った。
集められていた人数は…、彼らを含めて10名ほどだ。艦隊のトップクラス、あるいはそれに準ずる者しか呼ばれていない。
文字通りのひと握りだ。
「さて、これで揃ったな。早速だが、君らに諮りたいことがある。
ただ、非常に申し訳ないが…、先に言っておく。一部、重要なところで、君らには聞かれても教えられない部分があるんだ」
「それは、たとえば、政治的な事情ですか」
大矢が言葉を切ったところで、間髪入れず、仁志が質問した。
「そう思ってもらって構わない」
「わかりました。…失礼しました、続きをお願いします」
「うむ」
ひとつうなずいて、大矢はまたゆっくりと話しはじめる。
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