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現れたのは、先刻、卓抜した言語理解力が絶賛されたばかりの村田修一だった。彼は横浜軍の提督クラスの中では若いほうだが、体が大きく、風格がある。
食堂では彼らだけではなく一般の兵士たちもいくらかいて、それぞれに休憩をとっていたが…、それに構わず、村田は続けて大声を発した。
「ほらー、はやーく。急いで集めろって言われてんすよ」
「なんで館内放送使わないの」
「あれ使い方がわかんないんで。あとどうせここにいると思ったんで」
「コーヒー飲みかけやー、持ってってもええかなあ」
「持ってってみればいいんじゃないすか。で、何も言われなかったらオッケーじゃないすか」
「何があったの。てか何か動きあったの!?」
この場面でそんな質問をまず投げかける石井と佐伯、さらにはその質問にいちいち答える村田に少し苛立ちを見せながら仁志が言った。勿論、村田はそれにも答える。
「文京怒ってます。声明出ちゃいました」
「うっわ、マジで」
「遺憾の意でました」
「やべえじゃん」
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