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「永川くんは先に入院病棟へ行ったと思いますが、あなたもついて行かれましたか」
「はあ、ええ、行きました」
「では、梅津くんに会ったのですね。彼は…、」

広池医師はそこで言葉を切った。森野は唾を飲み込む。

「事前に注射を受けていたので、一命をとりとめ、今は症状も落ち着いています」

話によれば彼はひと月も意識がないらしく、そのうえ皮膚には青斑が浮いていた。あれで症状が抑えられているというのか…。

「では、もし、注射を受けていなかったとしたら、その…、」
「そうですね、数日中に命を落としてしまうか、あるいは」
「やはり、す、スラィリーになってしまうのでしょうか」

森野はやや上半身を突っ込んだ姿勢で尋ねた。命懸けとは何度も口にしているが、その結果としてスラィリーとなり人に仇なすのは本意ではない。

「一般には、そう言われていますね。古くから伝わる俗説でもあり、また現在の医学界でも主流をなす考え方です」
「やはり…、」
「しかし」

広池医師は表情を変えないまま言葉を続ける。


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