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「無理だ、どうやって」
「見せてやる」

大沼は軽く両手の拳を握った。同じ能力者の帆足には、それで大沼の身体を包んでいた気が数倍の量になり、厚みを増すのがはっきりと見えたが…、
それでどうするのかと思う間もなく、大沼はいきなり炎の中へと飛び込んだ!

「おい!」

帆足の驚くまいことか。しかし…、さらに驚くべきことには、荒れ狂う炎が…、確かに、大沼の身体を避けている。大沼の歩いた数歩ぶん、炎の中に道ができているのだ!
預言者が海を割るのを見るのは、おそらくこんな気分だろうか…?

「道は俺が作る。だから俺から離れずに、ついてこいッ」

もはや従うしかない。走り出した大沼の背のすぐ後ろを帆足は追走した…、たしかに、炎は退いている、しかし…、猛烈な熱風が、顔を、腕を…、全身を襲う!

「あちィッ」

その声に大沼は立ち止まると、その場に膝をついて言った、

「乗れ」

その意図するところは帆足にもわかった。しかし、大沼より幾分痩せているとはいえ、似たような体格の自分を…、

「まさか!俺を背負って、そんな大量に気を出しながら、」

この先の悪路を走れるわけがない…、

「…ムリだ、」
「ガタガタ言うな、言うことを聞け!」


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