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そう考えたとき、岸の頭の中に、不意にひとつのストーリーが浮かびあがった。
帆足はもしかすると、その大沼に代わって革命の暗部を一身に背負い、長い間、汚名を着続けているのかもしれない…、
しかも、一切の不平を口にすることもなく。

あなたにとって、総帥とは一体何ですか。そんな質問が喉まで出掛かったが、それを岸は飲み込んだ。
その質問はまだ早い、それをこの傷だらけの先人にぶつけられるほど、まだ、自分自身に器がない…、そう直感したからだ。
岸はさらなる答えを求めるがごとく、帆足の横顔を見た。いつものように、不機嫌そうな腫れぼったい目が…、
ただまっすぐに、前だけを見ていた。


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