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広島、道場裏の鶏小屋。
森野がやっと最後の一羽を片付け終えた頃には、もうすっかり日が落ちて、辺りは暗くなっていた。
それでも…、ドアラが訓練のコツに気づいてからここまでに要した時間は1時間弱。
なにせ、かつての永川がこの訓練を真っ当に終えるのにはひと月余り、山崎に至っては半年を要したのだから、ちょっとばかり歌を歌っている点を除けば、驚異的な早さと言える。

すべての鶏が収まった様子を、森野は小屋の外から腕組みをして感慨深く眺めた。
初めは一体どうなることかと思ったが…、何事も絶望せず努めればどうにかなるものだな。ほんとにね。

小屋の屋根から一部始終を見守っていたカーサが、その様子を見下ろしながら呟く。

「なーんだ、案外すんなり行っちゃって。つまんないのー」

そう口にするが早いか、カーサはドロンと白い煙を残し、姿を消した。
次の瞬間、森野がふと背後に気配を感じて振り返ると、そこには…、普通の鶏の倍はあろうかという、立派な灰色の雄鶏が凛と立ち、こちらをじっと見つめている。

…あれ、まだあんな大物が残っていたのか。全て片付いたと思っていたが…、疲れでボーッとしてしまったかな?

なにしろ普段から細心の注意が行き届いているとは言い難い自身である。さして不審に思うこともなく、森野は雄鶏に近づいた。


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