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「これは、失礼を致しました」

騒ぎを聞いて駆け足で姿を現した上田が頭を下げる。

「いや本当に気にしなくていい、ここに突っ立っているほうが悪いんだから」

荒木は笑顔のまま上田にもそう答えた。彼らにしてみれば降って湧いた災難である自分との遭遇である、怒っているなどと思われてはいけないからとにかく笑顔を絶やしてはいけない。
しかしその実、作り笑顔もそんなに上手いほうではない…、あたかも怒りを隠しているかのような不自然な笑顔になってはいないだろうか、ああもう、話がしてみたいなんて甘ったれたことを考えてないで、さっさと部屋に戻れば良かった…!

「それで大尉、なにか、御用で?」
「え、」

猛烈な勢いで自分の殻へ引っ込んだ上で後悔しまくる荒木に、上田が声をかけた。その声に突然外の世界へ引き戻され、荒木は激しく視線を泳がす。
御用。御用っていわれても。そりゃまあ、ありますよ、御用ですよ、でもアナタと話がしたいです、って!?言えるか!

「あー、えーと、」
「あの、もしかして頭をお打ちになって忘れちゃったんじゃ」
「バカ、お前は黙ってろ、そんなお前や森野隊長みたいなことがあるか」


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