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「…なんちゅう人生や」

明日の知れないテロリストから始まって、大願叶って革命を果たし、のちにその地位を捨てて自らおたずね者になり、遠くの街で非正規軍にスカウトされ、その傍らスラィリーブローカーとして財を成している、
人生半ばにして、密度からいえばすでに凡人の三倍は生きていることになるだろう。壮絶という言葉をもってしても到底表現し得ないその半生に山崎はしばし言葉を失い…、やっとそれだけ、口にした。

「きっかけはどうあれ、一度道を踏み外しちゃうとね、もう、平穏な暮らしなんてのは望めないんだねー」

そう言いながら青木は意味ありげに永川を見る。その視線を受けた永川は露骨に顔を逸らす。

「…けど、こんな話、僕にしてええの。それって秘密なんちゃうの?」
「別に知ったところで問題ないさ、秘密つっても公然の秘密だ。西宮も当然、マーティの動き自体には気づいてるだろう。ただ、取るに足らないと思ってやがるだけだ。実際、今は取るに足らないだろうしな」
「それに、本来やまちゃんも知っててしかるべき話なんだよ。お師匠さんも噛んでるんだからな。あの人がお前に何も説明しないのは、おそらくお前が広島の人間じゃないからだろうが…」

そこまで永川が喋ったところで…、ジリリリ、と事務机の上の電話が鳴った。青木が腕を伸ばして受話器を取る。

「はいはい、ああ、…………そうか、うん、うん…、ご苦労さん、ありがとう」
「検査結果出たのか」

話し終わった青木が振り返るよりも前に、永川が腰を浮かして口を開く。


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