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「といっても、別に逮捕された訳じゃないよ。警察のほうとは、福地の助言どおり、お陰様でうまくやってた。この商売も軌道に乗ってね。だが、ある日いきなり軍から人がやってきてだ、所沢の青木勇人だな、って言うわけよ」
「軍てどこの」
「広島だよ」
「広島の?軍?まさかあの広島自衛隊のこと?」
「広島に他に軍ないだろ」

大袈裟に驚いた顔をして聞き返す山崎を見て、横から永川が口を出す。

「でも普通あれ軍隊て言わへんで?だって戦われへんやん?西宮の干渉で、装備もなきゃ人もみんな他所へ流れてもたって学校の先生言うとったし」
「ああ、そうか、知らないのか…、…ナー、このへんの話って、聞かせちゃっていいもんなのかな」
「いいよ。お師匠さんがそのへん喋らない意味もわからんし。ついでに説明してやってくれ」
「また勝手に話進める。何やねん」
「いいから、勇人さんの話聞いとけ」
「…はあ」

永川のその命令臭い言葉に、不承不承に山崎はうなずき、また勇人のほうを見た。
…師匠がこの場にいないせいか、さっきから永川は山崎に兄貴風を吹かすのみならず、自分たちよりもそれなりに年長なのであろう青木に対しても態度がでかく、山崎はそれに違和感をもっていたが…、
考えてみれば永川は実際、師匠を除いてはこの辺りで最強だろう、それに相応しい態度をしているだけの事と思って納得する、ことにした。


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