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「そうだろ。そういうもんだよ」
「そういうもんか…」
納得のいったようないかないような顔をして、永川はうなずいた。
珍しいからもてはやされるという現象自体は理解できても、広島、それもこの三次からろくに外へ出たこともない永川にとっては、能力者が珍しいということ自体が感覚的に理解できないのだろう。
「まあ、話がそれたが、なんで広島へきたのか、って話はこのくらいだ。それで、もうひとつの質問に答えると、」
「もうひとつ?何やったっけ」
「なんで捕まらんのか、ってキミ聞いたじゃないか?」
「ああ、そやったっけ。なんでやの?」
「うん、これは簡単な話でね。実は、もう捕まってる」
「へ?」
意外な回答に山崎は思わず身を乗り出したが、このあたり永川はすでに事情を知っているらしく、落ち着いた様子でソファに寄りかかっている。
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