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青木は現在の関東の都市間の事情をつらつらと淀みなく説明した。青木のおかげで多少の予備知識をもつ永川はフームとうなずき、山崎はただただ目を丸くする。
「なんや、難しい話やんなぁ…」
「それとね、俺達が潰されない理由があとひとつ」
「まだあんの」
「あそこは総帥が半端ないんだよね、マジで。やっぱね、いくつかある理由の中でも、これがでかいよ」
そう言いながら、青木は不敵にニヤリと笑う。
「総帥ってもしかして、さっき言うとった、表には出て来ぇへんいう」
「そそ。まあ出てこないって言っても、名前はたまに報道で聞くから、キミたちも聞いたことあると思うよ、大沼幸二って、知らない?」
「あ!僕知っとるわその名前!きーたことある!僕とおんなし名前やな思ーて、聞くたび、ちょい気になっとったんよ」
「そうか、キミもコージだったね。ちなみに、あのテレビに出てる奴は小野寺」
「あーそうだ小野寺だ。そうだ。思い出した。あれがトップなんだって思ってた」
先刻はド忘れしていた名前を言われて思い出し、永川はポンと膝を叩いた。
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