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「一度にどれだけ気を溜めておけるか…、がそんなに重要なんですか?」
「一部、例外はあるがの…、殴る、蹴る、斬る、突く、吹き飛ばす…、なんでもええ、なんでもそうなんじゃが…、
一撃の重さは、いちどきにどれだけの量の気を吐き出せるかで決まる。実際に気を放出するとは限らんが、とりあえずそう考えて差し支えなかろ。
水に例えて言えば…、タンクの大きさと、そっから出る水道管の太さと、水圧の関係に似とるかの。
まぁ、タンクに水を補充する速度にも個人差あるが、今は置くとして…、管が太くても水圧が高い状態を保つには、そもそも水の量が多くないといけん。ここまでわかるな」
「ええ、わかります」
「それに加えて、連射がきくかどうか、流す量は細くとも長時間持続できるかどうか、なんかが全部そこに左右されてくる」
「ははあ、なるほど」
「そんで、まあ、そこへくると浩司は…、何よりもまず決定的にタンクが小さいちゅうことじゃ。まぁ、あれでギリギリ一杯とは言わん、まだ修業で伸びる余地は多少あるじゃろうが…」
そこまで言って、前田は言葉を濁した。カーサにもそこから先は理解できる。つまり、余地はあるが、恐らくは要する修業の量に見合った成果はが上がらないだろう、ということだ。
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