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どうにかビーチサンダルを脱ぎ捨て、二度目の蹴りを間一髪逃れて、裸足でなおも必死に走る山崎、すぐ後ろにぴったりついて鬼の形相で追うスラィリー、
そのさらに後ろにもうもうと上がる土煙をそれぞれ順に木陰から眺めつつ…、永川は少し思案した。
…不注意だな。あの蹴りをまともに食ったら、あばら骨折られるだけじゃ済まないぞ。
脚遅いくせに走って逃げるってことは、跳ぶのは危険だと思ってるんだろうが…、スラィリーは自分の頭までは手が届かないから、頭を踏めば頭上を飛び越せると思うんだけど、そこまでは頭が回らないんだろうなぁ。
そもそもあいつ、こっちへ誘導してこいって言ったの、覚えてるかな。まあ、覚えてるわけないよな。覚えてたとしてもそんな余裕ないか。
「…仕方ない」
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