100
永川が狩り仲間を連れてここへやってきたことは、多くはないが過去に数回ある。
しかし、青木の目に映った山崎は、これまでに永川が連れてきた仲間たちと比べても腕利きに見えない以前に、まず猟師には見えない。
「…大丈夫なの?」
未熟なハンターがスラィリーに手を出すとどうなるかを、まさか知らないわけもない永川が選んだ相棒なのだから、おそらく間違いはないのだろう、
しかし、念のため…と思って青木は永川の真意を確認した。
「俺の弟弟子さ。あの、ウチのお師匠さんの秘蔵っ子だ。狩りは初めてだけどね、充分やってくれると思うよ」
永川は自信満々に答える。
「ふうん。ま、ナーがそう言うならオレは別に言うことないわ。…青木勇人です。はじめまして、宜しくね」
「ありがとうございます!よろしゅうお願いします!!」
青木が差し出した名刺を両手で頂くようにして、山崎は深く頭を下げた。
「へえ、さすが前田さんのお弟子さんだね。礼儀正しいね」
「まあ、よそではね」
[NEXT]
[TOP]
[BACK]