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「ふふん、カンを外しおったな。正直ワシもここまでとは思わんかったわ。あれは槍じゃ。手から槍を出しよった。
 さっきのホラ話も、あながち嘘とも言い切れんようになったの、戦闘機は無理じゃが槍は出たけぇ。
 まあ、ここからが真剣勝負じゃ。浩司も本気で跳びよったしのぉ、見ものじゃぞ」
「ちなみに、今どのくらい跳べるんです?」
「さあの、本人に訊いてみんことには。ただ、ワシが見た限りでは、背丈の倍くらいは確実じゃ」
気力の充実しやすいように設えられたこの道場の中とはいえ、開始からたった5分で槍を発現した森野は、たしかに前田の言うとおり、素質に恵まれていると言えるだろう。
しかし山崎は、今まで気を使えていなかった相手が手から槍を突然出したのを見て、それから慌てて跳んでも、なおかつ、直撃を避けられる敏捷性の持ち主。
「そんなものを…、槍が出せるくらいで捉まえられるんですかね」
「そこをなんとか、捉まえてもらわんことには話にならんわ」
「まあ、そうなんですが…」
出会っていまだ半日ではあるが、森野の本気は永川もわかっているつもりだ。しかも、思っていたよりポテンシャルは高い。
それに、自ら望んでスラィリーマスターと戦おうとする相棒など、次に現れるのは一体いつになることだろう。再び現れるかどうかもわからない。
だから永川としても、なんとかしてこの勝負を制し師に己を認めさせてほしいが…、状況は厳しい。
不可能ではないのか、とたまらず永川は遠まわしに尋ねてみたが、前田は平然と前を向いて座っている。
「どうにかなるじゃろ。羽が生えとる訳じゃなし。それに、まだ時間はある」


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