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なるべく早く、早く、と森野があまりに急いているので、一行は朝食後すぐに山小屋を後にした。
永川にしても、遂にスラィリーマスターの討伐を行うのだから命懸けの仕事になるのは自明であり、
そうなれば遅かれ早かれ師には挨拶しておかねばならず、ちょうど森野が訪問したがっていることは永川にとっても好都合だ。
ただ本当は永川は茶碗を洗ってから出掛けたかった、が…、こうも急かすには森野は何か、師に大切な用事があるのかも知れないとも思い、
それは口に出さないまま、一刻も早く山を降りたのだった。

山道を抜け、ようやく踏んだ舗装道路をさらに歩くこと3〜40分。着いたよ、といって永川が指差した先には立派な鳥居が見えた。
「ここは…、神社、ではないのか?」
「まあ神社だったんだけどね。前の戦争で跡継ぎが亡くなってから荒れ放題になってたのを、お師匠さんが修理したんだ」
「ほぉ…、そうなのか…」
その軽い説明を聞いた森野があまりに感心した風に奥の社殿を眺めるので、永川はにわかに不安になり、あわてて言葉を付け足した。
「修理したと言っても、お師匠さんがとんかち持って直したわけじゃないぞ。金を出したってこと」
「それはわかる」
「いや、一応」


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