019

「おい、どうした」
「あ、ああ」
永川に耳のそばから声をかけられ、ようやく我にかえって森野はおぼつかない返事をした。
「そいつ、腹が減っているんじゃないのか?」
ドアラを指差し、永川が言った。ドアラの服についた土を払おうとした森野は、その言葉に再び驚いて手を止めた。
「なぜわかる!?」
たったいま超人的な力を見せられたばかりの森野には、もしかしてドアラの気持ちを知ることなど、永川にとって訳もないことなのではないかと思えたのだ…、しかし、それはまったく杞憂であった。
「わかるさ、俺も腹が減ってる。飯にしよう、手伝ってくれ」


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