011
今度ははっきりと聞こえたその名に、永川は目をまるくした。森野は身を乗り出し、さらに続ける。
「調べはついてる。このあたりにいるはずだ。知らないとは言わんだろう」
背後でドアラが足をひねって這いつくばっている。
「それは…、言わない…、が……」
永川は狼狽した。スラィリーマスター。確かにそれは存在している、存在しているからこそ、飼い慣らしたスラィリーどもを駆使して神出鬼没、
なんの目的だか不明だが、さまざまな企業活動や国家事業を阻害して、
その首には巨額の、全てあわせれば本当にどれだけか知れない、とてつもない懸賞金がかかっている…、
だが…、
しかし…。
その途方もない金額は、同時に、スラィリーマスターがどれだけ危険な存在であるかを、如実に物語っているのであった。
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