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梵はおそらく何も意識せずに言っただろう、だが横で聞いていた永川はそうではなかった。
いかにボロといえども今やそれは彼の手元に残されたただひとつの大阪ではないのか…、
しかし。
「置いといても、しゃーないわ。手間かけて申し訳あれへんけど」
山崎の答えはあっさりしていた。最早未練はないとでも言わんばかりに。
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