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スラィリーマスター。
永川や林がどうのと論じるより前に、梅津ほどの使い手がやられたのなら、まず最初に挙がるはずの名だ。それが東出の口からまったく出なかったのはどういう訳か。
単純に否定するに足る材料があり、かつそれがここまでに語られなかっただけのことなのか…、質問を投げかけた森野が想定していたのは精々その程度のことで、さほど深い意図はなかったのだ。
しかし、それに対する東出の反応は、過剰とも言えるものだった。

「英心は、そんなことする奴じゃありませんから」

語調が強まった。それだけではない、冷静を装っているのが明確にわかる声色だ。

「あいつがマスターと呼ばれる存在で、人も殺してるのは事実です。でも友達だったんだ」

平時から隙のない様子を見せていた視線が、一層強く森野を睨み付ける。

「俺らとも梅ちゃんとも、…ナーとも仲良かった、友達とか家族をすごく大事にする奴です、それが梅ちゃんを手にかけるなんて。ありえない!」


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