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「わからないって、どういうこと。あんた今度永川の仕事手伝うんでしょ?てことはそれなりのハンターでしょう?」
「ああ、まあ……、そういうことになるのかな。だが、つい最近まで何年もここを離れていて」

森野は嘘をつくのが苦手で、かつ方便を良しとしない性格だが、この場面では致し方ないことと割り切った。
昨日永川に言われたことを勘案すれば、この見知らぬ土地で誰がどこにつながっているのかわからない以上、自分は名古屋から来た軍人で、広島のスラィリーハンターではないということは極力明かさないよう留意すべきだ。

「ああ、そうなんですか。永川が突然連れてくるくらいの人だから、当然そのあたり知ってるんだと思って」

スラィリーハントを取り巻く情勢に明るそうな東出に対してこの嘘が通用するかどうかなどとは森野には考える余裕もなかったが、幸い、東出は訝るような様子を見せなかった。

「永川は、仕事に直接関係ないことは話してくれないものだから」
「なるほどね…」
「君は詳しいようだから、差し支えなければ、少し説明してもらえるとありがたい」

これは我ながら上手く言ったと森野は思った。東出は指で頬を掻きながら視線を横へ外し、少し思案する様子を見せて、それから徐々に口を開きはじめる。

「そうですね。どこから話したらいいのかな。じゃあ時系列的にしゃべりましょうか…、
 ひと月くらい前、今シーズンの初頭です。彼らいつもどおり3人で山に入りました。あと、犬を一匹連れてね」


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