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「それで、えーと何だっけ。『施術部へ流るる気を一時堰き止め』」

永川がそう言うと同時に、掴まれた肘の関節のあたりが急にジンと熱くなるのを、森野は感じた。

「いま、お前の腕の気の通り道の、肘のところに栓をした。ただ、強い流れに押されると破れるから、
 ちょっと腕の気の流れを止めててくれ。まあ普通にリラックスしてくれればいい」
「リラックスとか、無茶言うな」
「じゃあリラックスしなくてもいいから、気を鎮めて」

同じことだろう、と森野は思ったが…、ここで言うことに従わなければ、どうなることかわからない。
2、3度深く息を吐き、森野は呼吸を整えた。

「『そこから気脈を探り凡そ半寸或は一寸間隔にて慎重に穿つべし』、か。よし」
「…始めるのか」
「おう」

軽く返事をすると、永川は、森野の肘にあてていた右手の中指を、皮膚の上から探るように少し手前へずらした。

「ああ、そうだ。ひとつ言っておくがな、」
「…な、何だ」
「痛いぞ」
「ぎゃあっ」


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