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これも言われるままに、森野は右腕に意識のいくらかを集中した。腕の芯に近い部分が、ジィンと沁みるように熱く感じる。

「こう、かな」
「上手いぞ。さすが歌を歌ったくらいで地鶏が掴めるだけあるな。『続いて術者は施術部よりも脊髄側の気脈の一点を暫し確保』、成程、それじゃ、始めるぞ」

始めるぞ、と言うが早いか、永川はグイと森野の手首を引っ張り、書物から離した右手のひらを被せるようにして、肘のつけ根を親指と中指で強く掴んだ。
これでは森野はたまったものではない。慌てて抵抗し、その手を振りほどく。

「待て、何をするのか、ちゃんと説明してから始めろ!」
「怖がるな。誰も説明しないなんて言ってない、やりながら説明するって言ってるんじゃないか。大体、始めにまとめて説明するとだ、また説明くさい話が長くなって、飽きるだろ」
「ちょ、待て待て、じゃあせめて、何をするのか一言で言ってくれ」
「一言ね。そうだな、一言で言うと…、改造手術」
「はあ!?」

永川のその言葉を聞いて森野は焦った。
手術って…、一体何だ。具体的に何をするんだ、お前がやるのか、今ここで!?


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